2019年パンケーキ初め
は、自宅でバターミルクパンケーキミックスを焼いて、自家製あんこをのせて食べた。
朝作りながら食べたので写真はなし。
年末にあんこを炊いた時からやろうと思っていたので、前の晩から「明日こそ焼く」と心に決めていた。
パンケーキ好きとして、パンケーキ初めを三賀日の間にできなかったのは悔やまれるけれど、今年も美味しくパンケーキを食べられる一年でありますように。
ところで、うちにはホットプレートがない。
あればあったで便利だが、なくてもだいたいなんとかなるからだ。
しかし、パンケーキを自宅で作るときに限っては、あったら良いのになぁと思う。
フライパンでパンケーキを焼くと、1枚1枚焼くので、いつも台所で焼きながら食べることになる。
お行儀が悪いのはわかっているが、焼きたてのアツアツ、ふんわりもっちりの1枚を冷ましてしまうことなどできない。
焼き上げた1枚にバターを落とし、固体から液体に変わりゆくさまを横目で愛でながら、フライパンに油を薄く塗り、次の生地をおたま1杯分流し入れる。生地に気泡が浮かぶのをチラチラ見つつ、ホカホカの1枚目をひとくちずつ食べる。
これはこれで幸せなものの、ゆったりとした朝のパンケーキタイムとしてはやや落ち着きがない。
複数のジャムやメープルシロップを試すのにもゆとりがない。
こんなにパンケーキが好きなら、ホットプレートへの投資は安いものなのでは?
しかし、ホットプレートを置く場所はどうしたものか?
などと考えながらせっせとパンケーキを焼き、バターを落とし、あんこをのっけたり、サンドしたりして食べる。
食べ終えるころには、すっかり満足して、ホットプレートのことを忘れてしまう。
しかし、今年こそは買っても良いんじゃないかなぁ…と自分に問いかけながら満たされたため息をつく。
映画「The Dawn Wall」を見てきた
ヨセミテ旅行の記憶も新しいなか、映画「The Dawn Wall」を見てきた。
この映画は、ヨセミテ・エルキャピタンの最難ルートとも言われる、Dawn Wall壁のルートをフリークライミング(ロープで最低限の確保をしながら、基本的に自分の手と足だけで壁を登ること)で初めて登った、2人のクライマーの挑戦を追ったドキュメンタリー映画である。
どこから来たの
マンションの入り口で、薄茶のランドセルを背負った小学生と一緒になった。
エントランスの扉を開けてくれたその子は、私をじっと見て言った。
「どこから来たの?」
私はしばし固まり、なにをどう聞き間違えたのかと、その音を頭の中で反芻した。
私は一体どこから来たのか?氷河に包まれた極北の地から、深い森のなかの穏やかな小川のほとりから、容赦ない日差しが照りつける果てしない砂漠から。旅人のようにここに来たんだっけ?
私は一体どこから来たのか?命が始まり、終わるまでの間に私はどこからどこまで行くのか?
私は三回聞き返した。彼は三回とも、控えめながらはっきりと同じ質問を繰り返した。少し高めの澄んだ声は、やっぱり「どこから来たの?」と言っていた。
「会社…です」
何か間違えた回答をせざるを得ない生徒のように、私はおずおずと答えた。
私の不安が当たったように、その子は少しがっかりしたような目をして、「あ」と「そう」の間のような音を漏らして軽くうなずいた。
そこで私は気がついた。
エレベーターに乗った彼に追いついた。点灯しているボタンによれば、彼はすぐに降りてしまいそうだ。私は静かに穏やかに聞いた。
「私がリュックを背負っているから、遠くから来たと思ったの?」
彼は、小さく、音も出ないほど小さく息を飲んで「どうしてわかったの?」と言った。
私は思わず微笑み、質問には答えず「このリュックで毎日会社に行ってるんだよ」と言った。
エレベーターを降りるとき、彼は振り返り小さく手を振ってくれた。私も手を振りながら「おやすみなさい」と言った。もっと気の利いたことが言えればよかったのにと思いながら。
今日も私は亀の甲羅のようなリュックを背負って会社に行く。
でもその会社は、雨に濡れそぼった古代の遺跡かもしれないし、入道雲と青空を背景にした南の島かもしれない。